プラナリアの再生実験
プラナリアは、ヒルやサナダムシと同じ「扁形動物」のなかまです。
再生力が非常に強く、細かく切っても2週間ほどで再生します。
これがプラナリア↓
顔に注目してください。
目があるんです。
少し寄り目でかわいいと思いませんか?
この目で光を感じているんだそうです。
ちなみにお腹のあたり、色が濃くなっている部分が「口&肛門」になります。
不思議な生き物ですね…。
上の写真のプラナリアは「ナミウズムシ(Dugesialatum japonica)」という種類で、
再生実験によく用いられています。
※訂正
上の写真のプラナリアはナミウズムシではなく、
外来種のアメリカツノウズムシ(Girardia dorotocephala)だそうです。
専門家の方からメールをいただきました。感謝^^
今回は実験のために、彼らを50匹ほど用意しました。
さて、このプラナリアたちをどうやって入手するかですが、
プラナリアは山間部の水のきれいな川に多く生息していて、
川底の石を裏返すと、こんなふうに(↓)張り付いていたりします。
生物部の合宿で訪れた「大菩薩嶺」の小さな流れで見つけました。
しかし、もっと簡単にしかも都会の真ん中でプラナリアを入手する方法があります。
彼らの秘密のアジト、それは 熱帯魚店です(笑)
大きな熱帯魚店へ行くと、プラナリアが大発生している水槽をたまに見かけます。
我が家の近所の熱帯魚店にも、彼らは大勢いました(笑)
店員さんの話によると、魚や魚のエサと一緒に知らず知らずのうちに水槽に入ってくるんだそうです。
熱帯魚の世界ではプラナリアは害虫の類なので、事情を話すと快く分けてくれました。
ちなみに、プラナリアを教材屋で買うと20匹で6000円もするとかしないとか…おそろしい。
では実験についてみていきましょう。
実験材料はこんな感じです。
プラナリア、飼育水(2〜3日汲み置きした水)、シャーレ、ビーカー、剃刀の刃
実験の手順は
@プラナリアをシャーレに移す。
Aルーペで観察してスケッチする。
B剃刀の刃でプラナリアを切断する。
C切断したプラナリアをビーカーに移し、飼育水を加える。
その後、2週間ほど飼育して再生する様子を観察します。
プラナリアたち。実験用に大きな個体を選別しました。
実験に用いるプラナリアは、実験前10日間ほど絶食させます。
そうしないと切断したとき、自らの消化液によって溶けてしまう恐れがあるそうです。
切断には鋭利な刃物を使用します。
プラナリアを切断するとき、氷の手術台を用意してその上にプラナリアを置くと、
動きが鈍くなって切りやすいそうです。
今回の実験では氷の手術台は使用せず、シャーレに入れたプラナリアを直接切ってもらいました。
〈生徒の書いたスケッチ〉
切断完了。
2匹のプラナリアが5つの破片になりました。
切断しても頭部は元気に動いています。恐るべき生命力。
実験後、プラナリアを飼育・管理します。プラナリアは高水温に弱いので注意が必要です。
(熱帯魚店で入手した彼らは25℃をこえても元気でしたが、一般的には25℃が限界だそうです。)
こんな装置をつくって温度管理しました。
水道水をすこーしずつ流して水温を一定に保ち、そこにビーカーを半分浸かるように沈めています。
班ごとにラベルを貼って、自分たちが切ったプラナリアが再生する様子を観察します。
ビーカーの水は2〜3日おきに交換。
ちゃんと再生するかな?2週間後、結果が楽しみです^^
…2週間たちました。
5つの破片になったプラナリアたち。
結果はこうなりました↓
すごい!再生してる!!
2匹だったプラナリアが5匹に!
頭を失ったものは頭が再生し、尾を失ったものは尾が再生し、
頭と尾を両方失ったものは、ちゃんと両方とも再生しています。
プラナリアをみじん切りにした班では、小さなプラナリアがたくさん再生していました^^;
…驚くべき再生力。
最後にプラナリアにレバーを与えて、生徒と一緒に摂食行動を観察しました。
(プラナリアは肉食。エサはレバーやアカムシなんです。)
3週間以上何も食べていない彼ら。
レバーを入れるとすぐに動き出してレバーの上に乗っかり、
お腹の部分にある口(咽頭といいます)をのばしてせっせと食べていました。
無事に再生して元気になったプラナリアを見て、生徒たちも嬉しそうでしたね^^
プラナリアの再生実験。
わたしにとっても初めての試みでしたが、プラナリアの愛らしさと生命力の強さには感動しました。
一見するとグロテスクな姿に、はじめは生徒も「気持ち悪い」と言っていましたが、
“目”を発見すると、「かわいい!」という声があちこちからあがりました。
切るのはかわいそう、という声もありましたが、
プラナリアは自ら体を分裂させて増えるため、切られることはプラナリアにとって
それほど負担ではないことを説明しました。
近頃では教育の現場で、さまざまな理由から生体を使った実験が敬遠される傾向がありますが、
やはり「ホンモノ」は生徒にとって最高の教材ではないでしょうか。
小さなプラナリアをのぞき込む生徒の表情を見ていて、そう感じました。
現在、生物室にてプラナリア増殖計画が進行中。
たくさん増やして教材屋さんに売ろうかな?なんちゃって笑。
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