土壌動物観察実験





土の中には生き物がいっぱい。



ふだん日の当たらないところで生活している生き物たちに、スポットを当ててみました。

私たちのもっとも身近で、もっとも知らない世界。

有機物をせっせと分解し、土を豊かにし、自然環境を根底から支えている。

この実験を通して、そんな彼らの存在を少しでも知ってもらえたらと思います。



中学3年生の選択理科でおこなった実践をレポートします。









1時間目。

学校のそばの雑木林で土の採集。



横浜とは思えない環境の良さ(笑)

みんなでバケツとスコップを持ってやってきました。





林床には落ち葉がつもっています。

表面の乾いた落ち葉をどけて、

落ち葉と土壌の境目あたりの腐葉土を採集するのがポイント。

生徒はミミズが出てくるたびに、ぎゃあぎゃあと騒いでいます(笑)





10分ほどで採集完了。





教室に持ち帰った土を新聞紙の上に広げて、生き物を観察します。





お、いるいる^^



土をうすーく広げて、じっーと待っていると生き物たちがのそのそと動き出します。

目をこらして見てみると、驚くほどたくさんの生き物がいることがわかると思います^^





肉眼で見える大きな土壌動物はピンセットで採集(ハンドソーティング法)





意外とすばしっこい^^;



採集がはじまると生徒も夢中。

細かくやるときりがないので、適当なところで打ち切ります。





さて、ここからが今日の実験のハイライト。


土の中には肉眼では観察できないような、小さな生き物たちがたくさん生活しています。

ピンセットではつまめないので、

こちらの装置↓をつかって採集します。





ツルグレン装置といいます。


市販の大型のツルグレン装置は一台3万円ほどするので、

今回は手軽な材料を使って、小型のツルグレン装置をたくさん作ってみました。



作り方はとっても簡単。

まず「ろうと」を準備します。



なるべく大きいものがいいです。

写真のものは径が15センチメートルのタイプで、ホームセンターで200円で購入しました。

ダイソーにも同じようなものが売っています。

本当はアルミ製のろうとが良かったんですが、ちょっと高かったのでやめました。



次に、ろうとにぴったりはまるステンレスざるを用意します。



写真のものはダイソーで購入しました。

浅型でも深型でも問題ないと思います。



ろうとを台に固定します。



理科室をあさっていたら、ぴったりの台を見つけました^^

本当は何に使う台なんだろう?(笑)

他には、アルコールランプ用の足の短い三脚も良いです。



一班一台ということで、11台準備しました。



かかった費用は一台300円。全部でだいたい3千円。

だいぶ安くあがりました^^



最後に電気スタンドをセットして完成。





では、さっそく使ってみましょう。



ざるに土を入れて、ろうとの上にそっとのせて電気をつけます。

土が落ちるので、ビーカーは最後にセットします。



ろうとのまわりは暗くなるように覆ったほうが良いのですが、

今回は観察しやすいように、あえて何もしませんでした。



電球の熱によって、土が表面から乾燥していきます。



土壌動物は乾燥を嫌うので、下へ下へと移動していき・・・



最終的にざるを通り抜けた土壌動物が、ビーカーに落下する仕掛けです。



これで小さな土壌動物も採集することができます。

ビーカーにエタノールを入れておけば、新鮮な状態で固定することができます。

(生きたまま観察したいときは水を入れてください)



1時間目終了。

ツルグレン装置はそのまま一晩放置します。

(エタノールが蒸発してなくならないように注意^^;)



2時間目へつづく