ウミホタル



ウミホタル目(ミオドコ−パ目)ウミホタル科


ウミホタル/Vargula hilgendorfii





東京湾アクアラインの観光スポット「海ほたる」の名の由来にもなりました。

その名の通り、夜の海で発光する神秘的な生物です。



採集しようと思ったきっかけは、とある生物番組でした。

リポーターの男性が桟橋の上で、海底からビンを引き上げていました。

ビンのふたを開けた瞬間、海水とともにあふれだす淡い光・・・



「何だこれは!?」



ぜひとも自分の目で見てみたい!

すぐにインターネットでウミホタルの採集方法を調べました。

そして、作ったのがこちらの採集装置↓



ホームセンターで買ってきたガラスのビン(ふたはプラスチック)。



ふたに直径5ミリメートルの穴をたくさんあけました。



ビニルひもを取り付けて完成。



ウミホタルは体長3ミリメートルほどの雑食性の生物です。

このビンのなかに、レバーや魚の切り身などの餌を入れて海中に沈めると、

ウミホタルが穴を通ってビンのなかに入ってくる仕掛けです。



採集装置は完成しましたが、

肝心のどこで採集できるのか?という情報がありません。

日本各地のきれいな海(←なんてアバウトな!笑)と書いてあったので、

神奈川県の地図をひろげて適当に出かけてみることにしました。





最初の調査地に選んだのは、逗子海岸の葉山港。



8月1日PM7:00、JR逗子駅に到着。

風のない穏やかな夜で、絶好の採集日和でした。

採集装置を海に沈めて待つこと20分。

ワクワクしながら引き上げると、装置のなかで小さな生物が動き回っているではありませんか!?



「やったか?!」



・・・目を凝らして見ると、泳いでいたのはただのヨコエビでした。

がっかり。


その後、遠く江ノ島の花火を眺めながら2時間ほど採集を続けましたが、

採集装置にかかるのはヨコエビばかり。

この日、ついにウミホタルと対面することはできませんでした(涙)





8月20日、2度目の採集に挑戦。

前回の逗子海岸よりもきれいな海と思われる、横須賀市の観音崎にやって来ました。



午後7時半、採集地点に到着。

あたりは真っ暗。

ほんとに真っ暗(怖

夜の海でひとりぼっち。

何でこんなことをしているんだろうと思いながらも、

確かなウミホタルの予感に、意気揚々と採集装置を投下。





15分後。







装置をあけると・・・










ヨコエビがたくさんいました。


きみたちってどこにでもいるんだね(涙)





その後、場所を変えて試すものの、ことごとく失敗。

「今日もだめか…」



終電の時刻も迫っていたので、

最後にバス停のそばの漁港に入りました。



漁港の明り。





ラストチャンス。

装置を沈め、待つこと15分・・・







そして奇跡の瞬間は訪れたのです。














装置から溢れ出す淡い光・・・



とうとうウミホタルと出会えました!(感動)









想像していたよりもずっと鮮明で、あとに残る光。



装置のなかの海水はボワァーと青く発光し、

ウミホタルの泳いだあとにはすぅーっと光の残像・・・



あまりに幻想的な光景にしばし見とれてしまいました。







発光のメカニズムを少し調べてみました。


ウミホタルは刺激を受けると、体内から「ルシフェリン」という発光液を放出します。

ルシフェリンは発光促進酵素「ルシフェラーゼ」の働きによって

海水中の酸素と反応して(酸化して)、オキシルシフェリンに変化します。

このときに、エネルギーの一部が青白い可視光として放出されるのだそうです。






これがウミホタル。

「貝ミジンコ」の仲間というだけあって、からだは硬い殻で覆われています。

こんな小さな体で、あれほどの光を放つのですから、

恐るべき能力の持ち主ですね^^;







いきあたりばったりでスタートした、今回のウミホタル採集計画。

本当に苦労しましたが、ウミホタルと出会えたときの感動は忘れられません。

(土壇場でウミホタルを採集できたのは、ほんとうにラッキーだったと思います)

こういう生の感動を授業で伝えられたらどんなに良いか・・・

永遠の課題ですね(笑)



ちなみに・・・

ウミホタルは死んでしまっても、体内に発光物質が残っていれば光ります。

乾燥させて保存すれば、いつでも光らせることができます。

(光れば良いというわけでもありませんが・・・)



今度「乾燥ウミホタル」を準備して、授業でウミホタルの発光実験をする予定です。

成功したら「教材の部屋」で紹介したいと思います^^







追記(2007/9)



乾燥ウミホタルを使った発光実験をおこないました。

くわしくは教材の部屋の「ウミホタルの光」をご覧ください。





いきもの自然ノート一覧へ戻る